GIFアニメ戦争勃発

秋葉原VSニューヨーク。GIFアニメ戦争勃発?! “GIF”をテーマに戦うスタートアップ2社。【GIFMAGAZINE & GIPHY】[特集インタビュー]

執筆:Daily GIF89a編集部(古川一貴) 撮影:Daily GIF89a編集部(伊藤明子)

CEO大野_CTO中坂

秋葉原 VS ニューヨーク。「GIFアニメ」という共通テーマで,世界中の映像クリエイターを盛り上げるスタートアップが2社ある。

GIFMAGAZINEを運営するcreative box Inc.(秋葉原)とGIPHYを運営するGiphy,Inc.(ニューヨーク)である。Facebook、TwitterにGIFをシェアして再生できる会社は世界でこの2社である。(※2014年6月9日現在)しかし投稿の機能も有するのは、世界で唯一GIFMAGAZINEだけである。当メディアにGIFアニメの作り方の記事を多数寄稿しているGIFMAGAZINE(creative box Inc.)が、6月9日(月)00:00にiOSアプリ,Androidアプリを28カ国語対応で同時リリースをした。日本のスタートアップを応援する意味を込めてインタビュー記事を執筆した。

 

近年、世界中でGIFアニメの盛り上がりが起こっている。ロンドンの現代美術専門の美術館、サーチ・ギャラリー(The Saatchi Gallery)では、国際的なGIFアニメのコンテストを開催した。映画『ムーラン・ルージュ』の監督バズ・ラーマン氏らが審査員を努め、52カ国から、4000作品以上の応募があた。また、アメリカの流行語大賞にあたる「Word of the year 2012」では「GIF」が大賞となった。クリックをせずにシームレスにアニメーションを楽しめるGIFは、Webサイトやコミュニケーションアプリに非常に親和性が高い。ファッション、アート、政治などに活用され、Flashの登場により、一度廃れたかのように見えた技術が再び見直されている。

 

2つのサービスを一言で表現すると。「GIFMAGAZINE」はGIF作品投稿・共有プラットフォームであり、「GIFPHY」はGIFアニメの検索エンジンである。2014年5月15日、GIPHYはシリーズAで2.5億円を調達したところを見るとGIPHYがスケールアップへは一歩リードといったところだろうか。今回は、GIFMAGAZINEの開発メンバーに以下の4点を伺った。

 

①GIFMAGAZINEとはどのようなサービスなのか?GIPHYとの違いは?
②なぜGIFMAGAZINEを作っているのか?
③どうしてGIFをテーマにしたのか?
④どのようなビジネスモデルなのか?

GIFMAGAZINE_appstore_googleplay

 ①GIFMAGAZINEとは?GIPHYとの違いは?

■まずGIFMAGAZINEについて教えてください。どのようなサービスなのでしょうか?

大野:GIFアニメ好きのための作品投稿・共有サービスです。まずはコンセプト動画を御覧ください。GIFMAGAZINEのユーザーの雰囲気が理解できます。

GIFMAGAZINEとGIPHYの機能の差を5つの創作活動のプロセスに沿って下の表にまとめました。

  1. 制作する。
  2. 投稿する。
  3. 共有する。
  4. 閲覧される。
  5. 賞賛される。

 

GIFMAGAZINE&GIPHY機能比較 GIFMAGAZINE VS GIPHY 機能比較

 

このように、GIFMAGAZINEはコミュニティに特化したサービスです。映像作家の方だけでなく、写真家、イラストレーター、漫画家の方など、多くのクリエイター、そしてライトにGIFアニメを制作する方がユーザーとなっています。今までGIFMAGAZINEのWeb PC版の強化に専念してきました。実際にGIFアニメを作るユーザーはPCで制作していたためです。今回リリースするアプリでは、通勤時間や暇な時間に新鮮なGIFアニメを見てもらえるように作りました。またGIFアニメを作るカメラ機能も搭載し、より多くの方がGIFアニメ制作をできるようになりました。

WEB版GIFMAGAZINE

 

■どんなメンバーで開発しているのですか?

CEO兼デザインは大野、Web版・バックエンドは全てCTO中坂、iOSは髙橋、Androidは藍口、という役割ですね。最小単位の組織で、それぞれが専門性を持ちつつGIFMAGAZINEを開発しています。

GIFMAGAZINE開発メンバー 左から,藍口,大野,中坂,髙橋

 

②なぜGIFMAGAZINEを作っているのか?

■どうしてGIFMAGAZINEを開発しようとおもわれたのですか?

大野:人が喜んだり小さいころから、何となくアートで、クリエイティブで、おばかなことで、生計を立てて生きていきたいと思ってました。インドやタイなどバックパックしながら、ストリートパフォーマンスしたこともありました。大学の学内掲示板をドット絵のパブリックアートでジャックして怒られたこともありました。Tシャツ屋をしてみたこともありました。検索勇者という中二病ゲームを作ってYahooニュースにのってこれは中二じゃないってにちゃんねるで叩かれることもありました。だけど、どれも生計を立てられるほど昇華してはいなかったんですね。

 

様々な表現のツールに挑戦しましたが一番筋がよかったのは、インターネットに関わることだったと感じています。ただ、自分もクリエイターでありたいから、Webやアプリケーションによって、クリエイターが楽しく、自分の作品を発表できたり、それによって雇用が生まれるような「場」を創ることでクリエイターになろうと思いました。世界各国では様々アートでクリエイティブなサービスがある中、日本発でPinterestとかdribbbleのようなグローバルで通じるクリエイターの活躍の場が創りたいです。そうなるとテキストをベースにしない、非言語コンテンツなGIFMAGAZINEは少し有利だと思っています。

大野謙介(CEO 兼 デザイナー)

 

ークリエイターが作品を発表できたり、それによって雇用が生まれるような「場」を大切にされているのですね。中坂さんはいかがでしょうか?

 

中坂:誰でも「何かを創りだせる」クリエーターになれる場を作りたいと思ったというのが一番ですね。僕は自己表現をするのがすごく苦手なんですが、プログラミングをはじめてからは、自分の考えを自然言語以外で 人々に表現できるようになりました。 今ではCTOとして開発をしていますが、元々は文系でプログラミングには疎い学生でした、知らない悔しさから独学でプログラミングを始めました。これが僕にとっては革命的なことで、生き方を変えるほどの変化でした。 それ以来、webサービスを作ったり、ossのライブラリを作ったり、とにかく何かを創りだす楽しさに取り憑かれました。 この「何かを創りだす」という体験を多くの人が感じれることっていいことだなと思っています。その時に、誰でも自分の表現したいものをほんの数分で作ることができる、最良の手段はきっとGIFアニメじゃないかなと思ったんです。GIFMAGAZINEを通して多くの創造性が世界に発信されていけばいいなって、そういう思いから僕はGIFMAGAZINEを創っています。

中坂雄平(CTO)

 

③どうしてGIFをテーマにしたのか?

■今回、iOS版、Android版のアプリのリリースで、クリエイターの作品をより閲覧しやすい環境ができましたね。しかし、GIF画像って古く感じるのですが?どうして今GIFというテーマに取り組むのでしょうか?

大野:おっしゃる通りで確かに古い技術です。しかし、GIFアニメは現在のリッチコンテンツの消費の仕方に合わせて復活しました。1987年に「GIF」というファイルフォーマットができ、1993年、GUI型Webブラウザ「Mosaic」によって多くのクリエイターの動くコンテンツがWeb上に創りだされていきました。日本ではフィーチャーフォンの動く絵文字などの活躍を経て、2000年代Flashの登場と共に衰退していきました。しかし、2010年を迎え、iPhoneによるFlash排除、ファイルサイズも軽量でホスティング費用が節約できたり、クリックレスな再生が可能であることから、現代のモバイル環境におけるリッチコンテンツの消費の仕方として注目を集めることになります。そこから、政治、ファッション、アートなど、様々なアプローチでGIFの活用が進み、2012年、「GIF」がついにアメリカの流行語大賞(USA Word of the year)になります。

ファッション・アート・政治で再注目されるGUF
2000年代からFlashの発展とともに、Web上でのリッチ表現での活躍の場を失っている。最も検索された2004年12月を100%とすると、2011年に30%と底をついたのち、2012年以降、上昇を続け、2014年5月には当時の77%までV字復活した。【2014年5月20日時点 Google トレンド調べ】

【2014年5月20日時点 Google トレンド調べ】 2000年代からFlashの発展とともに、Web上でのリッチ表現での活躍の場を失っている。最も検索された2004年12月を100%とすると、2011年に30%と底をついたのち、2012年以降、上昇を続け、2014年5月には当時の77%までV字復活した。

 

2014年4月の「gif」の検索回数は3,380,540回である。 【2014年5月20日時点 Google キーワードプランナー調べ】

【2014年5月20日時点 Google キーワードプランナー調べ】 2014年4月の「gif」の検索回数は3,380,540回である。

 

 

■軽量なファイルサイズやクリックレスな再生という魅力は、ファイルの規格や、ハードの仕様次第で揺らいでしまうのではないでしょうか?

中坂:もちろん、他のファイルフォーマットであってもクリックレスな再生は表現できると思います。私達の指しているGIFは、単に「GIF」というファイルフォーマットだけでなく、社会的にもっている「GIF」という言葉の映像表現のキッチュさやループによる楽しさという社会イメージを借りているという認識です。米Googleが開発している「.webM」というフォーマットが存在します。ウェブに親和的なオープンなフォーマットであると共に、軽量さと高品質を両立することを目標としている、新しい動画規格です。HTML5の進化と共に、動画をループさせるなど動的に制御できることが重要になります。GIFMAGAZINEはすでに「webM」への対応も完了しています。

 

■どのようなユーザーがGIFMAGAZINEをつかっているのでしょうか?

藍口:大きくプロのクリエイターと、そうでない方にわかれるかと思います。最近だと、好きなアイドルの動画をGIFにしたり、GIFMAGAZINEからGIFをシェアするとFacebookでもGIFがアニメーションできることを利用して、GIFMAGAZINE経由でFacebookに投稿される方もいますね。
プロの方ですと、LINEスタンプのクリエイターさんが、スタンプの告知のためにGIFMAGAZINEにGIFとURLを合わせて投稿してくださっています。長めの映像制作をされている方が予告としてGIFにしてURLをはったり、ロゴやモーショングラフィックスのポートフォリオとして使用してくださっています。自分の作品の認知やトラフィックの獲得に使用しているということです。

Android_プロダクトマネージャー_藍口康希

 

■Vine(米)はGIFとは異なる形で短編ループ系の動画プラットフォームを提供しています。それに対する差別化はあるのでしょうか?

GIFMAGAZINEでは音がでません。

 

ーえ、負けてるじゃないですか?
はい、ファイルの軽量さとのトレードオフですが、その点負けてるかもしれませんね(笑)まぁ、授業中や会議中、電車の中など、”暇な時間を消費したい時ほど音が出せない環境だったりする。”と前向きに考えてますね(笑)。
Vineはスマホアプリでしか作品を制作・投稿することはできませんが、GIFMAGAZINEでは、クリエイターが楽しい場所を創るのがミッションなので、PCで高度に映像制作されている方も、そしてカメラアプリでコマ撮りGIF作品を制作する方も投稿することが可能です。

 

■動画バイラルメディアとはどう差別化されているのですか?

髙橋:GIFMAGAZINEでは、クリエイターが楽しい場所を創ることを純粋に考えています。つまり大きくユーザーの参加の仕方が異なります。バイラルメディアはコンテンツの集合、GIFMAGAZINEはクリエイターの集合、つまりコミュニティです。ユーザーの参加の仕方は異なり、SNSで受動的にコンテンツを受け取るか、コンテンツを制作して能動的にコミュニティに関わっていくかの違いが生じます。なので、GIFMAGAZINEで制作されたGIFアニメがバイラルメディアで拡散されていくこともあるでしょうね。

iOS_プロダクトマネージャー髙橋一平

 

 

④どのようなビジネスモデルなのか?

■それではビジネスモデルの方にも合わせてお伺いできればと思います。2013年は動画広告市場が国内だけで132億円、2017年までに5倍の640億円になると言われていますね(※1 株式会社シード・プランニング様データ)

【調査概要】 調査対象:インターネット広告業界各社 調査方法:訪問取材及びオープンデータ調査 調査期間:2013年10月~2014年3月 【調査概要】
調査対象:インターネット広告業界各社
調査方法:訪問取材及びオープンデータ調査
調査期間:2013年10月~2014年3月

大野:例えば静止画に比べ、楽しいプロセスをGIFだと見せることはできます。ニコニコ動画、Youtube、Vine、Coub、GIFMAGAZINE、GIPHYなどの動画のプラットフォーマーはクリエイターの協力を得ながらタイアップ企画やコンテストなどのネイティブアドを実施することができます。また、きちんとタグ付けされ、人気のGIFアニメをレーティングしているが故に、バイラルメディアへのAPI提供で、よりクリエイターの作品露出を増やすと同時に、メディアのトラフィックを増やしたりとBuzzfeedのようなこともできます。

 

パナーA(静止画)バナーA(静止画)

バナーB(GIFアニメ)バナーB(GIFアニメ)

大野:GIPHYは、GIFの検索エンジンですので、GIFの検索結果でマネタイズをするようです。「猫」と調べた方にペットショップの告知となるようなGIFコンテンツを提示するということですね。

GIFPOPというニューヨークの会社ではGIFアニメをカードに印刷て販売していたり、イタリアでは、おしゃれなインテリアとして手回しGIF再生機を販売している会社もあります。GIFをリアルにするのも非常にインタラクティブでおもしろいです。パラパラ漫画のような表現をおもしろいと感じるのは全世界共通ですからね。

 

■最後にメッセージをお願いいたします。

大野:秋葉原のGIFMAGAZINE、そしてニューヨークのGIPHYどちらもGIFアニメをテーマにしたサービスですが、根底にあるのは、クリエイターがより世界に発信できるような場所です。Youtuberや、ニコニコ動画で雇用が生まれ、羽ばたいていくクリエイターがいるように、「GIFMAGAZINEがきっかけで生計がたてることができました」というクリエイターを生むことが実現できればと思っています。これからも世界に”おもしろい”を発信できるように秋葉原から精進します。

秋葉原GIFMAGAZINE

 

GIFMAGAZINE:GIFアニメ好きのためのGIF作品投稿・共有プラットフォーム

GIFMAGAZINE_appstore_googleplay

 

ダウンロードはこちら

 

android appstore
iOS:https://itunes.apple.com/ja/app/gifmagazine-animated-gif-magazine/id734489230?l=ja&mt=8
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.createbox.gifmagazine

大野謙介(CEO兼デザイナー)

大野謙介

福島出身。横浜国立大学工学部卒。2014年リクルートマーケティングパートナーズを退職し、creative box Inc.を創業。CEO,デザイナー。Adobe Pinch In等でGIFアニメ制作の解説記事を連載。
Twitter:@SeKai_SeiFuKu

 

中坂雄平(CTO)

中坂雄平

宮城出身。横浜国立大学経済学部卒。2014年株式会社オールアバウトを退職し、creative box Inc.を創業。CTO,エンジニア。
Twitter:@razokulover

 

髙橋一平

髙橋一平

神奈川県出身。東京工業大学卒。creative box Inc.にてGIFMAGAZINE iOS版開発。

 

藍口康希

藍口康希

神奈川県出身。東京工業大学卒。creative box Inc.にてGIFMAGAZINE Android版を開発。

執筆:Daily GIF89a編集部(古川一貴) 撮影:Daily GIF89a編集部(伊藤明子)

GIFMAGAZINE